ものの単位は国によってさまざまだ。
たとえば重さなら日本ではキログラムが一般的だろうが、アメリカなどではポンドを使ったりする。ちなみに1キログラムは2.2ポンドあるいは1000グラムだ。
ところで、その意味をちゃんと理解しているだろうか?
計測の単位について世界中で同意を得ることは想像以上に難しい。じつは今、重さの単位に関する定義が約130年ぶりに変更されようとしている。
―あわせて読みたい―
成年者は法的には20歳以上を定義するが、脳が完全に成熟するのは30歳を過ぎてから(脳科学専門家)
「暗黒DNA」の存在が進化の定義を変える可能性が示唆される(英研究)
日本の「かわいい」の定義とは?
オランダ政府、安楽死を「人生が終わったと感じている人」にも適用させる法案を提出
すでにこんな決まりがあった。地球外生命体と接触した際の10の法や規制、決まり事。
キログラムはどうやって決められているか?
現在、世界標準となっているキログラムは「国際キログラム原器(IPK)」という、プラチナとイリジウム製の円柱が基になっている。
国際キログラム原器は40年に1度計測され、きちんと1キログラムであることが確認される。ところが、最近の計測結果からは、IPKの重さは不安定であることが明らかとなっている。
このために、貿易や科学の分野、さらにはロケット工学のような厳密な精度が求められる分野に混乱を引き起こしかねないと懸念されている。
それだけではない。現在IPKはフランスにある国際度量衡局で厳重に保管されているのだが、万が一、事故が起きて紛失でもすれば世界から1キロを知る手段が失われてしまう。
そんな問題のある原器の重さを基に1キロを定めているなど不思議にも思えるかもしれない。だが、それが長年世界で採用されてきたことにはきちんとした理由がある――それ以外の方法で1キロを知るのが困難だからだ。
計測学における単位の発展
さまざまな単位は自ずと決まっているとお考えかもしれない。
例えば、1日なら24時間、1時間は60分、1分は60秒といった具合だ。しかし歴史的に見ると、それらは世界で観察される自明の現象を基にして定義されているのが本当だ。
計測学においては、そうした自明の現象はアーチファクトと呼ばれている。
航空宇宙技師のマックス・フェイギンは自身のツイートの中で、科学者はアーチファクトと比べて何かを測るやり方を乗り越えようと長年努力してきたと述べている。
たとえば、かつて1秒は地球が太陽を1周するのにかかる時間の1/31556925.9747の時間であるとされた。しかし現在では、セシウム133原子の中の電子が9,192,631,770回振動するのにかかる時間と定義されている。
なぜこんなにも面倒なやり方をと思うかもしれないが、原子の振る舞いを用いることで、宇宙のどこにいようとも、1秒が1秒であることをかなりの確かさで知ることができるというメリットがある。
要するに、科学者は、計測単位を決めるために人為的な対象を比較することをやめて、普遍的な定数に求めようとしているのだ
シテ科学産業博物館に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている image credit:wikipedia/commons
キログラムの特殊性
秒は、キログラムやメートルほか4つの単位と一緒に国際単位系(SI単位)を構成する。これは計測単位の基本となるもので、そのほとんどはアーチファクトを用いずに定義されている。
ところがキログラムについては、複雑怪奇な重力を考慮せねばならないために、アーチファクト抜きで定義することがきわめて困難だった。
質量と重量は混同されやすいが、じつは別物で、物の中にどれだけ物質があるかを意味する。科学者が国際キログラム原器抜きでどうにかキログラムを定義したいと考えているのもこのためだ。
プランク定数でキログラムを新しく定義
そして採用されたのがワット天秤である。現在、アメリカ国立標準技術研究所やイギリス国立物理学研究所など、いくつかの研究所で開発中のこの機器は、プランク定数を基にキログラムを定義できると期待されている。
プランク定数とは、量子論を理解するにあたって中心的な役割を果たす物理定数である。
要するに、ワット天秤は質量を決めるために、重量を測るのではなく、2枚の板の間の電磁力を測ることで決める。それも真空の中でだ。
つまりは電力によって物体の質量を計測する。それにはいろいろややこしい計算式があるのだが、物理はちんぷんかんぷんだという人なら、それでキログラムを原器なしで再定義できることだけ覚えておけばいいだろう。
なお、これが新しい定義として採用されるには、今月13~16日に開かれる国際度量衡総会で承認される必要がある。130年ぶりに歴史が塗り変わるだろうか。今、キログラムに注目だ。
References:RIP the Kilogram, Which Will Never Be the Same Again | Inverse/ written by hiroching / edited by parumo
追記:(2018/11/10)本文を一部訂正して再送します。
http://karapaia.com/archives/52267363.html
こちらもオススメ!
―歴史・文化についての記事―
ユニークレトロ!フランスの商品を宣伝するために作られた面白い形の宣伝カー(1929年~)
130年ぶりにキログラムの定義が改定されるかもしれない件
サマータイムの導入は人々の体や暮らしにどんな影響を与えるのだろうか?
オンリージャパンなのか?日本に来た海外人がびっくりしたこと。驚きのジャパン12
マレーシア航空370便墜落事故に新事実?消息を絶つ直前に戦闘機が接触していたという説が注目を浴びている件
―知るの紹介記事―
ユニークレトロ!フランスの商品を宣伝するために作られた面白い形の宣伝カー(1929年~)
130年ぶりにキログラムの定義が改定されるかもしれない件
世界に汚名を晒す結果に。国家遺産の山の岩に電動工具でラブハートな名前を深く刻み込んだカップル
母性が動く時。母ヒヒを捕食したメスライオン、残された赤ちゃんヒヒを保護しオスライオンから守る(ボツワナ)
シュレーディンガーの猫ならぬシュレーディンガーの細菌が量子生物学の重要な一歩となるかもしれない(英研究)
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
1分って1秒なの?
大層な天秤みたいなものを作ろうとしてるみたいだけど、測定対象の素材とかで計測結果が代わったりしないのかな
その昔、キログラム原器をサビさせた国があったとか何とか
ちょっと面白かった。こういうネタはもっと出して欲しいなあ。
キログラム原器の質量変動よりも小さな誤差でプランク定数を測定できればよりよいキログラムの定義になる、らしい。従来の定義より5倍の精度になるとか。産総研の記事が参考になった。
E=mc^2=hνを利用して決めた理由は、アボガドロ数の測定がキログラム原器の質量ほど高精度に測定出来なかったというのが原因
定義変更で俺の体重が減るかもしれない⁉
ややこしいからついでにヤード・ポンド法とか滅べ
日本からは傷が付きにくい丸玉型の原器が提案されるらしいぞ
なぜ現在のキログラム原器の質量が不安定になったかということにどうして触れないのか
この記事、無茶苦茶だ。文中に、重量と質量は違うって書いてるにも関わらず、質量の定義の変化を重さの定義の変化って冒頭に書いている。ちなみに、重量と質量の違いは恐ろしく重要で、高校物理を単に公式暗記して点数とっているのか、理屈の意味を理解してるのかのリトマス紙になるくらい、その違いは重要
大幅に変わるわけじゃないよな?な?
身近な物理:「キログラム」非表示にする場合はチェックを外す→
(出典 ニコニコ動画)
計測制度の向上により、今までは検出できなかったズレが検出可能になってきたのでは?例:他天体との距離/位置関係による変動・自転公転速度による変動・気温湿度による膨張(により押しのけられる空気量)からの変動など
その単位体積に物がどれだけあるかの単位って説明もおかしい。厳密には、そのもの固有の最小質量を持つ物がどれだけの割合でどれだけあるかだし(だからある振動数の光子の振動エネルギーと等価な静止エルギーを持つ物を新質量と定義するという今回の話がでてくる)。質量の簡略な現代物理の定義は「動かしにくさの単位」なんだから
と思って色々見てきたら、他の基準器との相対値や新旧各種定数の実測値の変動に加えて、トドメが現物に付着するゴミの問題だった。経年で重くなり、洗浄でほぼ元通りにするらしい
1分の定義変えるな
質量は[kg]重量は[kg•m/s^2]ですから、確かに冒頭の文は間違っているようですね。単位系の話をしているのに「グラム」を省略して「キロ」と表現するなど不適切な表現があるのも気になります。出典は海外の記事のようですし、この分野に明るくない方が翻訳されたのでしょうか。
ややこしいからついでにヤード・ポンド法とか滅べ ←同じくらいの大きさのミリネジとインチネジが混ざってたりすると本当にややこしい...
1光年て1時間?
545キロバトル
場所で重力やら気圧やらが色々変わるのに、どこにいてもどんな場所でもこれがあれば1kgがはかれるようになる定義なんてあるのかな ぜんぜんわからん
統一しろ、まじで…まじで…。道具なら尚更。でも、エスペラントは根付きませんでしたね……
つまり、ワイはもうすぐ何もせずに減量できるかもしれないし、増量するかもしれない…
カラパイアも、こういう記事なら面白いんですけどね。
ヤード・ポンド法、それとファーレンハイト度を使ってるのはもはやアメリカだけなんだよなぁ。イギリスですら最近はメートル法。
いずれにせよ、ヤードポンド法は滅びるべきである
普遍的な定数で単位を求めるというけど、この世の中に普遍的な物なんてないのではないかな。だから雰囲気とその日のテンションで、単位を決めて良いぞ。
ヤード・ポンドついでにインチも滅べ。ボルト、ナット、ラチェットのソケット辺りに混ざるとホント邪魔
キログラム原器がまさかの腐食とかで世界定義自体が揺らいだ、とかじゃなかったか、よかった・・・ あと「質量と重量は混同されやすいが、じつは別物で、物の中にどれだけ物質があるかを意味する。」お前は一体何を言っているんだ。
インチはヤード・ポンド法の一部だよ。あと数え方も面倒だよな。12インチで1フィート、3フィートで1ヤード、1760ヤードで1マイル、3マイルで1リーグ。ついでにガロンやオンスも滅びてほしいね。イギリス帝国主義の忌々しい遺物の一つだよ。
プラチナとイリジウム製の円柱か。欲しいw
優しいヤード・ポンド法オジサンをどうする気です?
この記事へのコメント