「好きなことを仕事に」を攻撃する人たちに思うこと/鴻上尚史


―[連載「ドン・キホーテピアス」<文/鴻上尚史>]―


◆“好きなことをしている人”が補償を求めると攻撃される根本的な問題とは

 自粛要請を受けて中止した公演やライブスポーツ大会などに政府がなんらかの補償をして欲しいとツイッターに書いたら、「好きなことをしているんだから、文句を言うな」とさんざん攻撃されました。

 普段、好きなことをしているんだから、公演が中止になったりライブが中止になっても当然じゃないか、という意見です。これは、まあ、「自業自得」とか「自己責任」とかのイメージでしょう。

 普段、まったく税金を払わないで好きなことをして、自分が大変になったら補償を求める、というのなら、「お前、それはムシが良すぎるんじゃないか」という突っ込みも、まだ分かります。(本当は、この理論を認めてしまうと、「税金を払えない弱者は見殺しにしてもいい」という結論になるので、危険なのです。税金を払えない弱者も救済するのは、いつ自分がそういう状態になるか分からないからです。病気になるのか、交通事故にあうのか、失業するのか、生産者ではなくなった瞬間に、保護される資格を失うのであれば、この社会は安心・安全ではなくなり、荒廃していくでしょう)

 あるプロダクションの社長さんが、公演の中止が続いて何億という損失を出し、政府に補償を求めた所、「金をたかるんじゃない」「コジキか」とツイッターで突っ込まれ、怒りのあまり、フェイスブックに「我が社は10年以上、毎年、10億円程度の税金を払い続けている。私に文句を言っている人はいくら税金を払っているのか」と書いていました。

 今の政府に反対していようが賛成していようが、税金は払います。逆に、「自民党政権には反対しているから税金は払わない」なんてことが認められたら、国家のシステムが崩壊するわけです。

 なので、「好きなことをしているんだから文句を言うな」は本当は「好きなことをしていて、税金をちゃんと払っていても、文句を言うな」ということなのです。

◆好きなことをしている人とそうでない人との大きな溝

 と言うことを書いても、「コジキ」と攻撃してる人には届かないだろうなと、僕は溜め息をつきます。

 それは、「好きなことをしてるんだから、文句を言うな」という言葉を受けるたびに、「みんな、そんなに好きなことをしてないんだろうか」と思うからです。

「好きなこと」をしている人は、「文句を言うな」という言い方はしないんじゃないかと思います。補償について、もらい過ぎだとか、少ないという不満は言っても、「好きなことをしているんだから」という理由を選ぶことはないと思うのです。

 でも、好きなことをしてない人は、自分は好きなことをしてないから、好きなことをしているというだけで、補償を求める人を憎むのかなあと思うのです。

 街のレストランとか職人さんとか、自営業の人は、比較的、「好きなこと」を仕事にしているじゃないかと思います。サラリーマンはどうなんでしょうか。どれぐらいの人が自分の仕事が好きで、嫌いなのか、僕には分かりません。

 まして、非正規雇用の人で、自分の仕事が好きな人がどれぐらい、いるのだろうと思います。

 今の自分が仕事が嫌いで、それを続けている自分が嫌いで、自分が許せないという人にとって、「好きなことを仕事にしている」と見える人が「補償を求める」のは、許しがたいことに感じるのかなと思います。

 そうすると、「文化への補償」という問題は、「芸術」「芸能」への理解なんて問題ではなくて、じつは格差と貧困、雇用形態の問題なんだと思うのです。

 そこを解決しなければ、いくら「文化は大切なんです」「ヨーロッパでは補償されてます」と言っても意味はないんじゃないか、「コジキか」とメンションしてくる人との深い溝を、いったいどうやって埋めたらいいのかと考え込むのです。

 いつまで非常事態宣言が続き、どれぐらいの劇団や事務所バンド、演劇・音楽事業者が倒産、廃業するか分かりません。

 様々な弱者の側に立ち、生活と文化を守る政府であって欲しいと願うのです。

「もし、あなたがアーティストはこの世にムダなものだと思うのなら、自粛の期間、音楽や本や詩や映画や絵画なしで過ごしてみてください。(スティーブン・キング)」

―[連載「ドン・キホーテピアス」<文/鴻上尚史>]―




(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

以下、ここにコメントするということは好きで文筆業をやってる人の仕事の成果を享受したということ。


これで書いている本人の気が晴れるなら良いんじゃない?


仕方のない事とはいえ中止は中止なわけで、ソレに対する補填は欲しいよね。まあ、補填してくれないと困る超えて潰れるって会社がいくつかあるだろうし。てか、新型コロナに対する補填ともいえる特別定額給付金があったはず・・・


あと『好きな事してるんだから』で”対価無し”や”文句言うな”はかなり酷い。


むしろ、好きでもない事を仕事にする理由がわからん。誰だって自分の好きだったり興味のある仕事に対して履歴書送るんじゃないの?無理やり親の後を継がされた長男坊ってなら、ちょっとは同情するけどさ。


好きなことを仕事にできなかった敗北者なんてそれこそ山ほどいるからなぁ… その中のさらに一部が「嫌いな仕事を頑張る自分」を正当化するために好きなことを仕事にできた人を攻撃するんよ。


真面目に働くも納税できぬ人であれば救済すべき。問題があるとすれば、先のような例外を中心に据えて都合よく話をしようとする人。この記事みたいな論理展開はかなりズルイ。プロダクションの社長が幾ら納税済だろうと水商売である以上、外野から指摘が入るのは仕方がない。好きな事を仕事にする人に嫉妬しているみたいな指摘は見当違い。衣食住に通じる業種が優先されるのは仕方ない。


好きなことでも嫌いなことでも選択は本人にあるだろ ただだからといって自分を助けろというやつを助けるかどうかの選択は他人にあると理解すべきだな


自「おれを助けろ」他「しるかぼけ」 それだけの話


公演やライブ、大会の自粛の補償を求める事に対する批判が「好きなことをしているんだから、文句を言うな」が大半な訳がない。 反論しやすい意見だけ拾ってソレっぽい事書いてるだけだから、コイツの話に耳を傾ける価値無い


救われてほしいと思うか自業自得と思うかは、職種よりもその当人の性質次第かな。


好きな事を仕事にして補償をもらえなくなったら、近所の腕組み系ラーメン屋もつぶれるし俺が応援してるゲーム会社も潰れるし、おまえらの好きな声優事務所だって「好きなことを(人生をなげうって)やってるから補償無用」になっちゃうんだよ。だからセガ以外へはいくらかの補償を考えてほしい


「仕事の対価とは嫌なことを我慢した見返りである」と勘違いしてる人はこういう思考になるんだろうね。俺はこんなに嫌な思いをして金を貰ってるのに、好きなことをして金を貰うなんてけしからん、っていう。嫉妬による攻撃とかただただ醜い。


この絵ビールじゃね?アルコールを飲んでというのは文化的な行為なんじゃない?というか、保証なしで自己責任なら、ライブ開いて来たくて来たなら自己責任になっちゃうね。


仕事の対価は「カネを払う側がしてほしいことをきちんとやった人間が」受け取るもの。「自分が好きで作ったものを買ってくれる人を探してカネを払ってもらう」のも当然立派な仕事。問題なのは「買ってくれる人がいなくなった」現状に対し「カネを払う人が気に入るものを作る」選択肢を取らずに政府に補償を求めている姿勢。 


(続き)さらに問題なのは「『政府に補償を求めて批判を声高に叫ぶ行為』に対して金を払う人間」の存在が隠しきれいていない点。


×きれいて 〇きれて 失礼。


「どの業種が補償されるべきでどの業種が補償されるべきでないか」という線引きが曖昧だから感情論になる。納税の有無というのは妥当な基準であるように思える。


10億使って11億稼ぐような商売は、何かあったときにパタッと倒れるのは仕方ないんじゃないかね。納税してたっていうけど所得に対して税金を納めるのは当たり前だし、何億も稼ぐユーチューバーがコロナにかかって売上0になったとして、補填する必要あるw?今までの稼ぎでどうにかしろって言わないw?


大きな稼ぎを狙えば、大きなリスクも背負うということだ。つつましく生活していれば、数ヶ月の自粛くらいどうとでもなる。


×「好きなことをやってるくせに」〇「景気によって売り上げが大きく変わる仕事を選んでやってるくせに」だと思うな。叩いてる方の本音は。


逆に好きな事を仕事によく出来るなと思うが


私は株の売買で生計立ていて毎日動向見てる程度には好きっちゃ好きだけど、景気のせいでマイナスが出たら補填してもらえますか?税金も払ってますよ?


>「もし、あなたがアーティストはこの世にムダなものだと思うのなら、自粛の期間、音楽や本や詩や映画や絵画なしで過ごしてみてください。(スティーブン・キング)」←自分は割と平気です。


企業向けの保険がコロナ対象外で保険金貰えないのが問題


非常時に優先するべきは何ですか?「衣食住」と「音楽や本や詩や映画や絵画」ならどちらを優先しますか?


好きなことを仕事に出来るのは、嫌いなことやって生きてる人がいるおかげだと思ってるので、まぁ好きなことやってる人に対して文句言うのはしょうがないことなのかな。不安定な仕事ってのは好き嫌い関係ないと思うけど。


人それぞれ考え方があるし他人の考えを変えようとすることが無駄な気がする。この記事でお気持ち表明しても批判してる人は変わらないのでどうやって生き残るか考える方が吉




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