人工知能(AI)を使って、ポルノ動画の出演女優の顔を女性芸能人の顔にすりかえ、ネット上に公開したとして、大学生とシステムエンジニアの男性2人が10月2日、名誉毀損などの疑いで警視庁と千葉県警に逮捕された。
報道によると、男性2人は、自分たちのウェブサイトで、すりかえ加工したポルノ動画を約400本公開し、動画の販売料などで約80万円以上の収益を得ていた。技術の進歩で、本物と見分けがつかなくなったような動画は「ディープフェイクポルノ」と呼ばれる。
ディープフェイクポルノをめぐって摘発されるのは、全国で初めてということだが、具体的にどのような法的問題があるのだろうか。小林正啓弁護士に聞いた。
●名誉毀損罪が成立する可能が高い――報道によると、名誉毀損の疑いで逮捕されました。
女優に限らなくても、本人の承諾を得ないで、他人の顔画像とポルノ映画を合成して、一見見分けがつかないようなものを作成して公開すれば、刑法上、名誉毀損罪が成立する可能性が高いと考えられます。
なぜなら、現代日本において、ポルノに出演したことがあるという事実は、その人の社会的評価を低下させることといえるからです。
裁判例としては、アイドルタレントの顔写真とヌード写真を合成したアイコラ画像をネット掲示板に掲載した人について、名誉毀損罪の成立を認めたものがあります(東京地裁平成18年4月21日判決)。
被害者が女優である場合、偽計業務妨害罪が成立する可能性もあります。今回のケースは、アイコラ問題と同様に考えてよいと思います。
ただし、名誉毀損罪が成立するのは、その動画を閲覧すれば、その人がポルノに出演していたと誤解するような場合です。故意に、あるいは合成技術が未熟であることによって、明らかに合成とわかる動画を作成した場合、名誉毀損罪は成立しません。この場合には、侮辱罪の成立が問題となるでしょう。
●「技術悪用の可能性が高まっている」――今後、民事責任を問われる可能性もありそうです。
民事上は、一見して合成とわからないような動画を作成して公開した場合、不法行為として、名誉毀損に基づく損害賠償請求権が認められるでしょう。ほかにも、肖像権の侵害や、被害者が女優である場合にはパブリシティ権の侵害に基づく損害賠償請求権が認められることになるでしょう。
また、ポルノにも著作権は発生しますから、その制作者などに対して、著作権法上の責任を負うことになります。
さらに、無断で顔画像を使われた被害者は、ネット掲示板の運営管理者に対して、人格権に基づく妨害排除請求権として、その画像の削除を請求できると考えられます。
技術発展のためには、過剰な規制は禁物ですが、悪用の可能性については、注意深く見守っていく必要があります。
――技術発展という点では、2019年のNHK紅白歌合戦において、歌手の美空ひばりさんの歌声をAIで再現したことが話題となりました。今後、声の合成など最新技術が悪用され問題となるケースも考えられそうです。
スター・ウォーズ外伝の映画『ローグ・ワン』では、ガイ・ヘンリーという現役俳優の顔をデジタル処理して、『エピソードⅣ』に出演したピーター・カッシングという往年の名優が生き返ったかのような場面を制作して話題になりました。
もちろん、この映画ではガイ・ヘンリー本人と、ピーター・カッシングの遺族その他の権利保持者それぞれの承諾を取ったのでしょうが、承諾を得ずに映像化して公表したような場合には、両者について法的問題が発生します。
特に後者については、現在の法体系では必ずしも保護されないと思われるので、何という権利の問題であるのか、その権利はどの程度保護すべきであるのかについて、これから議論し、立法化していくことになると予想します。
【取材協力弁護士】
小林 正啓(こばやし・まさひろ)弁護士
1992年弁護士登録。ヒューマノイドロボットの安全性の問題と、ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。
事務所名:花水木法律事務所
事務所URL:http://www.hanamizukilaw.jp/

(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
逮捕者の顔で*ビをつくろう(技術提案)
そろそろAIがフルスクラッチで0から欲しいエロビデオを作ってくれそう(期待)。
ローグ・ワンにピーター・カッシングが出た時は驚いたなぁ
あれれ、開発者は逮捕しないんだ?不思議だねぇ
ターミネーターもシュワルツェネッガーが政治家やってた間に作られた作品などは別のボディビルダーの顔にシュワルツェネッガーの顔を合成している。そういう使い方をするための技術のはずなのに、悪用する奴が居るのは悲しいことだ。
まさに知性という武器を身につけた悪魔のサルの所業。滅んで、どうぞ
AIを具体的にどういう風に使ったのかが気になる。
野獣先輩女の子説の映像証拠が増えそう
>ALTAIR「こういうシステムを開発したら〇〇罪とする」或いは「開発したシステムが犯罪に使われたら開発者も罪に問う」という条文はどの法律にも無いから、開発者は逮捕出来ない。包丁が犯罪に使われたからと言って作った人まで逮捕されないのと同じ。
プログラミング言語なんてあるからコンピューターウィルス作る奴が出てくるんでプログラミング言語作った奴は全員逮捕しろとはならんのと同じ理屈やね。
そもそもエロビのための技術じゃないでしょ。映画とかのエキストラに使ったりしてたわけだし。それが一般人でも扱えるようになっただけで。ラルクのSTAY AWAYで見た時より、全然進化してるわ
戦争とエロは技術を発展させるんだなあ
なんでそういう悪用するかなぁ……
最近研究員の死体が見つかったばかりだし、なんというか、熊大は魔境やなぁ。
この技術だけ売ればよかったのに・・・
なんだ、てっきりニコニコの「*と見る○○」かと思ったのに違うのか。あれも思いっ切り著作権侵害してるから逮捕されてもおかしくないよねw
ディープフェイクポルノ界隈は、一般公開したら名誉棄損にあたる可能性が高いから内輪でこっそり技術交換してる人が多いイメージだけど、最低限の倫理すら守れない奴はどこにでも居るもんだな(呆れ
ほんの十数年前は映画のCG数秒で製作費用が何百万円とか言っていたのに、一般人でもできてしまうとは技術の進歩が恐ろしく早いな。
この事件が何年も前に起きてればみくちゃんも言い訳ついたのにね・・・
>>あれれ、開発者は逮捕しないんだ?不思議だねぇ Winnyのときにそれやって、反発受けたうえに最高裁で無罪になったからね… とはいえ、これは悪用しやすい技術。 素人考えでも防犯カメラに陥れたい人間が映ったように細工したりする方法とか思いつくし、もっと手軽に出来るようになれば国内外問わず警察などでの証拠捏造とか増えるんじゃない?
ひろゆきみたいにネット選挙推進しようとか言ってるIT詳しいらしい人らはこれの物理的対策をしっかり確立してみせてから言えと思うわ。
これ使ってフェイクのニュース映像作るとかありそう。トランプ大統領が大暴言!みたいな。
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