人々の健康を脅かし、経済活動を停滞させた新型コロナウイルス。結果、人間的な生活を営むために必要な“家”や“食”の確保すら難しいという人が増えているという。去る8月15日、記者は都庁前で行われた「認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい」と「任意団体新宿ご飯プラス」による、住まいを失った人などに対する個別相談会と、食料品の配布会を訪れた。そこで目の当たりにした「家なき中年」の実情とは――。
◆コロナ禍で参加者が2.5倍増。家なき中年も集う相談会に密着
当日の東京都の最高気温は38.7℃。強い日差しがコンクリートに照り返し、熱風がビルの隙間を吹き抜けるにもかかわらず、記者が到着した相談会が始まる1時間前には、すでに多くの人が集まり、長蛇の列をつくっていた。
「今日の参加者は164人。4月以降増え続け、前年同月比で参加者は2.5倍に増えています」
そう話すのは、同相談会を主催する大西連氏だ。
「例年、8月は猛暑に耐えかねて路上生活者も公的支援を受けて生活を立て直したり、熱中症で倒れて入院する人が増えるため、食料品の配布に並ぶ人数は少なくなります。だけど今年は例外。相談会を開催するたびに、新しい顔ぶれを見かけるので、新たに住まいを追われている人が増えている印象です」
相談会に訪れるのは、ネットカフェ難民や路上生活を余儀なくされた人たち。当日はみなソーシャルディスタンスを保ちながら、静かに座り込んでいた。
◆年収200万円でも危険。住む場所は簡単に奪われる
その中で、記者が出会ったのは堀康夫さん(仮名・55歳)。今年7月から路上で生活するようになったという。
「コロナの影響で勤めていた工場が生産をストップ。もともとネットカフェで暮らしていたのですが、働き口がなくなり、そのお金すら稼げない。今は池袋近辺で路上生活しながら、寝床を転々としています」
配布される食料品の袋の中には、ミニトマトやバナナ、オーツミルクが詰まっている。堀さんも大切に抱え、その場を去っていった。
また、今回の相談会に訪れた太田隆さん(仮名・52歳)は、今年の3月に警備員の仕事を失い、従業員専用の寮暮らしから路上生活者となった身だ。
「寝るのは公園だけど、昼間はJRの一番安い区間の切符を買ってずっと乗っている。いけないことだとはわかっていても、外の暑さに耐え切れなくて、どうしても電車内で過ごしてしまいます」
そしてコロナは仕事を奪うだけでなく、路上生活そのものをさらに困難なものにしている。参加者の50代の男性はコロナの影響でコンビニのトイレが使えなくなったのが不便だと話した。
「コンビニだけでなく、駅などの施設や公園の水飲み場などもソーシャルディスタンスを理由に、使用禁止になっている場所があります。これからの酷暑で、水場の確保が難しいのは死活問題です」
◆“住まい”から先に失っていく
大西氏いわく、路上で生活している多くの人は、日雇いや派遣などの仕事をこなし、月5万~10万円程度の稼ぎのあるケースも多いという。しかし、その程度の額では最低限度の生活を維持することすら難しい。こうして人は困窮すると、衣食住のうち、“住まい”から先に失っていくのだ。
「これまで、年収200万円程度でバリバリ働いてきた人が、新型コロナ不況で一気に困窮して住む場所が脅かされています。その事態を目の当たりにすると、問題の根深さを感じますね」
◆年収300万円以下の世帯は39.6%
’17年発表の国税庁「民間給与実態調査」によると、年収300万円以下の世帯は39.6%と多くの割合を占める。数字だけで見ると4割近くがいつ家を失ってもおかしくない状況だ。
「リーマンショックのときは、製造業を中心に非正規雇用者が派遣切りなどに遭い、家を失うケースが多かった。しかし、今は全産業がダメージを受けていて、あらゆる職種の人が相談に訪れます」
彼らが抱えている問題は決して他人事ではないのだ。
【大西 連氏】
認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表。任意団体新宿ご飯プラスの共同代表も務める。国内の貧困問題に取り組む。著書に『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)がある。
<取材・文/週刊SPA!編集部>

(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
ご本人も苦労されているのでしょうが、JRのルールを破っていいことにはならないのではないでしょうか
ちゃんと大回り乗車を駆使すれば問題はないゾずーっと山手線乗ってるのはアウト
記事にするならそういったときどう行動すべきか、いつから動き始めるべきか、まで書けばいいのに。不安煽るだけで何もしないんだな。
月5~10万円の収入なら生活保護申請したらダメなの?
地方に仕事がなくなってるのが根本じゃないかね。都市部は家賃が高いから、じゃあ田舎で暮らそうって出来ない。
年収200万でバリバリ・・・?まずそこから直さんとおかしくないか
年収200万程度でバリバリのバリバリがフルタイムで働いてるって事なら、地域によっては最賃割ってるな。
少なくとも家賃の高さは何ともしがたい月4万とか5万ってあたかも手軽に言われるけど安くないよね
全労働人口から世帯年収300万以下持ってきても意味ないでしょ、10代も50代も正規もバイトも全部纏められてるんだから。そして東京都の就業人口は800万人程度なのに、160人程度の相談会を大げさに取り上げすぎ。必要以上に煽るからゴミなのよ。
コロナの影響で家賃の値下げ交渉増えてない? 収入が減った場合はその割合に応じて、大家か不動産会社に相談するか、自治体に住宅確保給付金の申請をするか
バリバリ働いたら200万以上にはなる。んで、年収300万円以下の世帯は39.6%と多くの割合を占める。てのは学生バイトも含んでるからな。
>もともとネットカフェで暮らしていたのですが、 うん?
この記事へのコメント